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自由帳です。

臍炎の経験

 

臍炎になって、苦しんで、治った話です。

目的

お臍から液体が出てくるのは何?臍炎にかかったかな?と思った人に向けて、こんな人もいるんだなぁ、って感じてもらい、「何かの参考になったらいいなぁ」と思って書きました。

 

一番つらかった日を0日として、-21日から14日までの5週間を1週間ずつ簡単にまとめました。

 

状況を整理するため、お臍からの液体、熱っぽさなど、腹筋周りの痛み、肉芽、診察、薬に分けて書きました。イメージしやすいように、グラフでも示しました。あくまで私個人の体験ですので、他の誰かにそのままあてはまるわけではありません。

 

グラフの見方

 

臍炎に関連した症状を4つに色分けしました。それぞれ通常時を0、一番つらい状態を3にして、なんとなく4段階に分けています。

 

お臍から出てくる液体、膿が青です。ケアが大変だけど、直接的に痛みや気持ち悪さなどには影響しません。

熱っぽさなど、風邪のような症状がオレンジです。3のときはかなりつらかったです。頭痛がひどくなって、気持ち悪くなったりもしました。

 

腹筋周りの痛みが赤です。ニュアンスがむずかしいのですが、腐ったものを食べてお腹が痛いという状態ではありません。イメージとしては、お臍から炎症が広がってお臍周りに刺激が加わると痛みが走る感じです。腹筋に少しでも力が入ると痛かったので、咳をしたり笑ったりはできませんでした。3のときは普通にあることもできませんでした。

 

肉芽が緑です。にくげと読みます。お臍の一部から突起物ができて、お臍からはみ出してガーゼと擦れて痛かったときが3です。肉芽があることそのものは、痛みや気持ち悪さに直接影響しません。大きくなったときに、ガーゼと擦れて痛かったり、肉芽がじゃまでベルトが普通に締められてなかったりしました。

 

一番下の灰色のグラフは薬です。これだけ症状ではありません。0が何も飲んでいないとき。1が市販品の服用。2が医者から処方された薬の服用です。

 

症状はつらかった順に、腹筋周りの痛み > 熱っぽさ等 > 肉芽 > 液体、膿 でした。特に腹筋周りの痛みが3のときは、気合をいれないと歩くこともできないくらい痛かったです。熱っぽさも、3のときは頭痛がひどくて気力もなくなっていました。腹筋周りの痛みと熱っぽさのピークがずれていただけ、まだましだったとも思います。

 

 

3週間前|-21日~-15日目

概要

異変に気付いてない期間です。おそらくこの頃から異変は出始めていたのではないかと推測しています。

 

お臍からの液体

あとから思い返してみると、着替えるときに「ちょっと変な臭いがするなぁ」、という程度に感じていたことを思い出すくらいです。おそらく、このあたりでお臍から液体が出始めていたんだと思います。この臭いについては、最初の内はかなりきつい臭いだったのですが、0日目くらいになると臭いはほとんどしなくなっていました。

 

熱っぽさなど

なし。

 

腹筋周りの痛み

なし。

 

肉芽

なし。

 

診察

なし。

 

なし。

 

 

2週間前|-14日~-8日

概要

このころから、頭がボーっとするなか何の症状なのかをウェブでいろいろ調べ始めました。すぐに臍炎、臍肉芽腫、ポリープ、尿膜管遺残症、膀胱がん、などのワードがでてきて、このあたりに近い症状だと思いました。このとき見た主な資料は末尾にまとめました。

 

臍炎は子供というか、臍の緒がとれたばかりの赤ちゃんに関する情報が多く、私のようにとっくに成人している大人のケースはあまり出てきませんでした。大人が臍炎になるケースは尿膜管遺残症など、臍の緒を使っていた頃の管がなくならずに、残ってしまっているケースに関連していることが多そうでした。

 

自分が尿膜管遺残である確率は低そうだし、この頃は臍肉芽腫もなかったので、「お臍が炎症を起こしているんだろうなぁ」という予測でいました。特にお臍を傷つけたりいじったりした覚えはないので、きっかけが何かわかりませんでした。

 

これより後でわかったのですが、「臍炎 ブログ」などを含めて検索すると、大人の臍炎の体験記みたいなものがいくつかヒットして、とても参考になりました。

 

お臍からの液体

お臍から液体が出てきていることをはっきりと認識しました。服に液体が付いてしまい、その後が残っていました。臭いもきついので、はじめのうちは絆創膏をお臍に貼っていました。

 

そのうち普通の絆創膏では液体を吸収しきれなくなったので、大きいサイズで蒸れにくいタイプの絆創膏に変えて、しばらくそれで対応しました。

 

1日に2~3回は変えないと、ガーゼ部分が染みだらになってしまいました。お臍には、液体が乾燥してかたまった物が多数付着して、初めてのことだったので、見た目にかなり焦りました。ガーゼを変えるたびにお臍も掃除していました。

 

熱っぽさなど

このころからずっと熱っぽくて、「風邪をひいたのかな?」と思ってました。熱以外には、体のだるさ、鼻水、鼻詰まりの症状がありました。のどの痛み、せき、くしゃみはありませんでした。市販の風邪薬を飲まないと、頭がボーっとして深く考えることが困難でした。

 

この風邪のような症状と臍炎との関連性は不明です。たまたま臍炎の発症と同時期に風邪をひいただけかもしれませんし、臍炎が何かしら関係していたのかもしれません。この風邪の症状は結構きつくて、風邪薬が手放せない状態でした。

 

腹筋周りの痛み

なし。

 

肉芽

お臍の外観は、この期間の後半で炎症のような感じになっていることに気付きました。普通の皮膚ではなく、赤くジュクジュクした感じになっていました。

 

診察

なし。

 

市販の風邪薬を服用していました。

 

 

1週間前|-7日~-1日

概要

この期間が最もきつかった時期でした。人生で一番つらかったです。

 

お臍からの液体

お臍からの液体は変わらず出続け、たまに豆のような塊がお臍から出てくることがありました。液体が渇いたものとは明らかに異なり、粉がかたまって出てきたみたいなものでした。

 

他の人のブログでも、同様なことが書かれていましたので、「このことか」と思いました。

 

熱っぽさなど

熱っぽさでものごとを集中して考えられないのが結構きついかったです。回復に向かうことを期待して、直ぐに処方された薬を飲み始めました。

 

薬が効いたのか、たまたまタイミング同じだけだったのか、風邪薬が効いたのか、翌日から熱っぽさがかなり軽減されました。

 

腹筋周りの痛み

お臍の周りの腹筋あたりの違和感を覚えるようになりました。初めは痛くはなかったのですが、1~2日で痛みに変わり、違和感は出始めてから2~3日後には痛みで普通に歩けなくなっていました。

 

普通の歩幅では痛いので、前かがみになって小股でしか歩けませんでした。少しでも腹筋に力が入ると激痛が走りました。

 

つらいのが、イスに座るときとイスから起き上がるときです。両方とも普通の速度ではできず、ゆっくりした動作になり、何かつかまるものがないと、かなりの痛みを伴いました。

 

一番楽な姿勢がイスに座った姿勢でした。寝っ転がるのはかなりの痛みでした。腹筋の周りが痛くて、横向きに寝そべることができませんでした。寝る姿勢で唯一あまり痛くなかったのが、まっすぐ上を見て仰向けになる方法です。まっすぐの仰向けから少し横に体を倒すと痛みが走りました。

 

寝るとそこから上半身を起こした状態に持っていくのに、めちゃくちゃ時間がかかりました。立ち上がるときは、上半身を起こした状態からさらに時間がかかるので、夜トイレに行くのが嫌でしょうがなかったです。

 

0日目の前の夜は、あまりに腹筋の周りが痛すぎてなかなか寝られませんでした。今までに経験したことがないくらい痛かったので、このまま明日の朝お医者さんに診てもらうまで、我慢していいものなのか、それとも我慢してたらまずいことになるものなのか、どちらかわからず結構悩みました。

 

地域の夜間の救急病院を調べてみて、遠かったので歩いていくのは不可能だと思いました。救急車を呼ぶことも考え、その前に一旦#7119で相談しようかを迷っていました。そんなことをいろいろ悩んでいるうちに朝になりました。

 

肉芽

お臍は赤くジュクジュクした感じでした。炎症は進み小さな突起物ができ始めてきました。

 

診察

-4日目に近くの皮膚科に診察を受けに行きました。その時の症状は、熱っぽさと頭痛と鼻水、お臍からの液体、お臍の周りの違和感でした。この時点では、腹筋の周りが痛むほどではなく、普通に歩くことができていました。

 

飲み薬と塗り薬の抗生物質、風邪薬を処方してもらいました。「もし、改善しないようだったら紹介状を書くから、その時はまた来て」と言ってもらいました。

 

病院で処方された抗生物質と風邪薬を服用していましたました。

 

 

0週間前|0日~6日

 

概要

紹介状をもらって総合病院へ受診に行きました。この期のはじめは腹筋周りの痛みがきつかったですが、後半は回復に向かいました。風邪のような症状はだいぶ軽減されていました。

 

お臍からの液体

お臍からの液体は出続けていました。

 

熱っぽさなど

このころは大分軽減されていました。

 

腹筋周りの痛み

普通に歩けないなか、なんとか病院から家へ帰って、処方された薬を飲みました。

痛み止めが効いたのか、抗生物質が効いたのかわかりませんが、翌日は腹筋周りの痛みが緩和されていました。横向きに寝っ転がっても、痛くなくなっていました。

 

うれしい。普通に寝れることに、こんなに感謝したのは久しぶりでした。

 

肉芽

この週の前半は炎症部分の突起物はだんだん大きくなり、お臍からはみ出るくらいの大きさになっていました。1個大きめの鮮やかな赤色をした突起物があり、その陰に小さめの赤っぽい肌色の突起物があったので、突起物が2個ある状態でした。

 

大きい方は、先端がガーゼと擦れてしまい痛かったです。資料2に掲載されている写真そのものの突起物になっていました。この週の後半には徐々に小さくしぼんでいき、お臍に収まるくらいになっていました。

 

ウェブでいろいろ臍肉芽腫のことを調べてなかったら、この当然のように生えてくる突起物に、かなり混乱したと思います。まさか、自分のお臍から、肉の芽が生えてくるなんて、想像できませんから。こんなことが現実に自分の身に起きているのが、不思議な感覚でした。

 

診察

#7119に相談しようか悩んでいる内に朝になったので、身支度をして同じお医者さんに再び診てもらいました。直ぐに総合病院を紹介してくれて、その足で総合病院の診察を受けました。

 

総合病院に行くのは初めてだったので、受付の仕方がわかりにくかったりしましたが、何回か待ってやっと診察になりました。採血とCTをすぐにとって、やはりお臍が炎症を起こしているようでした。ただ、私の場合は尿膜管遺残症ではなかったようです。

 

診察のときに、綿棒のようなもので容赦なくお臍を深部までグリグリされました。これがめちゃくちゃ痛い。人生で一番痛い出来事に違いないと、この時は思っていました。しかし、次の診察でこの痛みを超える痛みを受けることになるとは、思ってもいませんでした。

 

お臍グリグリの間、めちゃくちゃ痛いから、ふんばろうと腹筋に力を入れたいんですけど、少しでも腹筋に力を入れると激痛が走る状態だったので、どうすることもできませんでした。抵抗しなければお臍が痛しい、抵抗すれば腹筋の周りが痛い。

 

お臍は痛覚が鋭いらしく、痛みを感じやすい場所だと教えてくれました。そこを容赦なくグリグリされるのだから、痛すぎです。でも、お臍グリグリのおかげで、お臍の深部に溜まっていた膿を出すことができたようです。

 

薬は、抗生物質と痛み止めも出してもらいました。自分では痛くてお臍グリグリは絶対にできないので、痛みも仕方がなかったのだと思います。診察の後は、あまりの痛みで10分くらいそのまま上を見て寝た状態で動けませんでした。痛みで動けないなんて、人生で初めてでした。なんとか起き上がり、診察を終えました。

 

この症状の人は膀胱がんになっていないか検査する必要があるので、あとで膀胱を検査する旨を伝えられました。

 

病院で処方された抗生物質を服用していましたました。痛み止めを腹筋周りの痛みが治まるまで、3日間くらい服用しました。

 

 

1週間後|7日~13日

 

概要

お臍のなかが完全に元通りにはなっていませんが、それ以外は通常です。食欲を感じるようになりました。これまでずっと食欲がなかったことに改めて気づきました。体重が2~3kg落ちていたのが、元に戻りそうです。

 

お臍からの液体

液体はほぼ出なくなりました。表面が湿っている状態ではあるので、全く出ていないというわけではいのかもしれません。ガーゼに染みができることはないため、もうガーゼも必要ないのかもしれませんが、念のために着けている感じでした。

 

熱っぽさなど

なし。

 

腹筋周りの痛み

なし。

 

肉芽

お臍の中はまだ元通りになっていません。肉芽の形状はしていませんが、表面が凸凹している状態で名残がある感じです。やや乾いてきた感じもしますが、まだ少し湿っています。

 

一時はこの肉芽は切り取ったりしないで、無くなることが想像もできないくらいでした。結果的には、放っておくだけで無くなりました。「あれはなんだったんだろう」と今では不思議な感覚です。

 

診察

1週間くらい前に診察を受けた病院と同じ病院で経過をみてもらいました。採血と検尿の結果、特に問題はなく回復に向かっているとのことでした。

 

再び綿棒のようなものでお臍をグリグリされましたが、今回は腹筋に力を入れても痛くないので、踏ん張ることができ、前回よりははるかに少ない痛みで済みました。それでも、日常経験することのないめちゃくちゃきつい痛みには違いありませんでした。

 

「これで、もう終わりかなぁ」と思っていましたが、ここで膀胱の検査をいつするかの話になりました。別の日にすると、病院で待つ時間がその分増えるので、できれば今日やってしまいたいと言いました。準備に少しだけ待って、膀胱の検査を受けました。

 

膀胱の中を、胃カメラを細くしたようなもので観察するみたいなのですが、尿を溜めておく膀胱にカメラを入れるには、尿の出口からカメラを入れるしかありません。尿の入り口は腎臓の方ですので、無理です。というわけで、尿の出口からカメラを入れられて診察を受けました。

 

このとき、めちゃくちゃ痛い。今日、膀胱の検査を受けるつもりではなかったので、事前にウェブで調べていませんでした。何も知らない状態での検査を受けたので、不安が大きかったです。

 

検査は最初にカメラを入れるときの入り口付近が一番痛かったです。入り口付近はずっと痛かったですが、それ以外の部分に感覚はあまりありませんでした。あの、腹筋周りが炎症で、痛くて横向きに寝ることすらできなかったときに、お臍グリグリやられたときの痛みを、越えました。1週間程度で、人生最大の痛みを更新しました。

 

検査は数分で終わったのですが、その日は小をするたびに痛みがあり、カメラを入れられたときの痛みが思い出されて、トイレに行くことを控えたい気持ちでいっぱいでした。しかし、できるだけ水分を取ってトイレに行くように言われていたので、普通の頻度ではトイレに行っていました。

 

この痛みは翌日まで続き、それから2日間くらいは、痛みはないものの検査の時の感覚が残り、トイレのたびにあの痛みが思い起こされていました。もう、2度とこの検査は受けたくありません。

 

病院で処方された抗生物質を服用していました。

 

 

2週間後|14日~20日

概要

このころは、もうほぼ普段通りでした。お臍だけは、完全に元通りというわけではなく、ちょっと褐色っぽい色になり、多少凸凹している感じはしています。でも、見た目には普通のお臍と言えると程度だと思います。

 

ライトで照らさないと暗くて見えないですし。あの腹筋周りの激痛が、今では夢の中の出来事のようにすら思えます。それくらい、私にとっては特殊な体験でした。

 

もし自分にアドバイスするなら

液体の対処

一番良かった方法は、個包装の滅菌ガーゼを横方向に2か所をかぶれにくいテープで留めるやり方でした。

 

はじめのうちは、普通の絆創膏や大きめの絆創膏を使っていたのですが、あまりよくなかったです。普通の絆創膏はサイズが小さすぎて、液体を吸収しきれませんし、お臍をふさいでしまうので蒸れそうで嫌でした。

 

蒸れにくいタイプの大きめの絆創膏も一時期使っていましたが、お臍を全面的に覆うことになるので、やはり蒸れやすそうな印象でした。

 

絆創膏は粘着面が全面にあるので、お腹を完全に張った状態で貼らないと、お臍の周りの皮膚が上下に引っ張られる感じがあって不快でした。

 

結局一番良かったのが、個包装のガーゼをお臍の上において、それをかぶれにくいテープで上下を留める方法です。これなら、あまり蒸れませんし、十分に液体を吸収できました。上下方向にテープを貼らないので、お腹の皮膚が引っ張られるような感覚もありません。

 

ガーゼを留めるテープには、最初は普通の白い紙テープを使っていたのですが、常にお腹にテープを貼っていたため、そのうち少しかぶれてきてかゆくなってきました。かぶれにくいテープに代えてからは、かぶれることがなくなりました。もっとはやくから、かぶれにくいタイプのテープを使っておけばよかったと思いました。

 

お医者さんに診てもらうタイミング

この時の私の場合は、「1週間くらい早く見てもらっていればよかったなぁ」と思いました。大人のお臍から液体が出てくるのは、普通は無い状態です。これに気付いた時点で行くのがベストだったんだろうと思います。

 

なかなかお医者さんに行く時間がないのと、どこにいけばいいのかいろいろ調べるうちに、1週間くらいすぐに過ぎてしまいました。

 

このときは、お臍からの液体と熱っぽいことしか症状がなかったので、あまり深く考えていませんでした。あの腹筋周りの激痛と、肉芽が出てくるとわかっていたら、もっと早く受診していただろうと思います。

 

見た主な資料

  1. 飯嶋重雄 (2023). 臍肉芽腫の病態・診断・治療・予防 〜これまでわかっていること〜 浜松医科大学小児科学雑誌, 3, 3-14.
    https://hama-med.repo.nii.ac.jp/record/4155/files/hjop_3_1_3.pdf

  2. 松川泰廣・萩原健 (2012). 臍肉芽腫:その血流と発生機序 日本小児外科学会雑誌, 48 1001-1006.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsps/48/7/48_KJ00008426556/_pdf/-char/ja

  3. 中川国利 (2000). 尿膜管遺残症例の検討 日本外科系連合学会誌, 25, 701-705.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcs1979/25/4/25_4_701/_pdf/-char/en

 

お読みくださりありがとうございます。